• 掲載期間:2014年6月30日〜7月14日

MIFACUP Music Interact Football for All Report

MIFA CUP 大阪 MIFA CUP 東京

MIFACUP 大阪

音楽とフットボールは想像を超えて強く結びつく

「さあ、始まるよー!!」

 1年ぶりの『MIFA CUP』は、このイベントの開催を誰よりも心待ちにしていた桜井和寿の叫びとともに幕を開けた。

 2デイズの舞台は、大阪市中央体育館。客席を埋め尽くしたファンの声援は、桜井の雄叫びを合図に始まるウカスカジーの新曲『勝利の笑みを 君と』によって、冒頭からピークに達する。

 ……とまあ、おカタイ感じのレポートはここまでにして、スタッフの一人として観た『MIFA CUP 2014大阪』の感想を素直に書き記したい。ものすごくシンプルに言えば、とにかく楽しかった。最高に面白かった。それから、舞台の表でも裏でも、ずっと笑顔で同じ時間を共有している出演者の皆さんが、少し羨ましくもあった。

 サッカーライターという職業を本文とする僕は、学生時代にバンドを組んでいたことがある(一応の)音楽好きでもある。サッカーの試合はもちろんよく観に行くし、楽器を演奏する機会はほとんどなくなったけど、好きなアーティストのライブがあればたまに足を運ぶ。

 世界を見渡しても、ミュージシャンにフットボールファンは多い。元オアシスのギャラガー兄弟もSTONE ROSESのイアン・ブラウンも、あのポール・マッカートニーだってそう。みんな“フットボール”の大ファンとして知られ、中には、「好きなチームの一員としてプレーできるならバンドをやめてもいい」と公言するビッグスターもいる。

 フットボールと音楽が、なぜそこまで強くお互いに引き寄せ合うのかについてはよく分からない。でも、きっとフットボールと音楽にはとてもよく似た魅力があるのだろう。だからこそこの言葉にも、特別な説得力を感じる。

 MIFA=“Music Interact Football for All”

 音楽とサッカーは、いとも簡単に融合する。そして、僕らの想像を超えて強く結びつく。だからこそ、同じ時間を共有した人みんながハッピーになれる。

戦うと魅せるが混在するだからこそ“ハッピー”が生まれる

 3時間半にも及ぶ音楽とフットボールの祭典は、ウカスカジーによる『勝利の笑みを 君と』の大合唱を皮切りに、大きなエネルギーを発散しながら一気に流れた。

 独自のルールで行われる3人対3人の『MIFA CUP』は、今回も見どころ満載だった。参加したのは、フットサル界のトップリーグである「Fリーグ」の6チーム(各日3チーム)と、ウカスカジーの2人、ナオト・インティライミ、そして元サッカー日本代表選手を加えた『MIFA FC』。Fリーガーたちの足技を駆使した超絶テクニック、トッププレーヤーたちによる真剣勝負はもちろんのこと、“お祭りムード”ならではのハイテンションも大きな魅力だ。“戦う”と“魅せる”が混在するパフォーマンスの数々は、歓喜の大声援あり、驚愕の叫びあり、そして真剣勝負のフットボールでは起こり得ないハッピーな笑いありで観衆を存分に魅了した。

 1日目の優勝チームであり、シュライカー大阪の監督でありながらプレーヤーとして参戦した日本フットサル界の“レジェンド”、木暮賢一郎は言った。

「出場している僕らも、観に来ているお客さんも、みんなが笑顔になるような素晴らしいイベントだなと改めて感じました。僕自身がプレーするのは……1年前の『MIFA CUP』以来かな。キレキレ? いやあ、どうですかねえ(笑)。まあ、今年からシュライカー大阪というチームの監督を務めさせていただくことになったので、“ホーム”ということで気合いが入りました。
 MIFA FCの選手たちは、やっぱりうまい。盛り上げ方も含めて『さすが!』という感じですね。偉大な先輩ばかりなので、こういう場所に呼んでもらえて本当に光栄です。僕らフットサル界の人間も“フットボールファミリー”の一員として多くの人に知ってもらって、もっともっと盛り上げたい。こういう機会をもらえたことに感謝しています」

 2日目の優勝チームは、エスポラーダ北海道。このチームでエースの座を張る水上玄太も試合直後の舞台裏で笑顔を見せた。

「いやあ、もう、すっごい楽しかったです! こんなところでプレーしたことがないので、最高に気持ちよかったですね。会場の雰囲気がめちゃくちゃよくて、しかも楽しくボールを蹴ることができて、お客さんも盛り上がってくれて……。自分たちのサポーター席が近かったので、本当に最高でした。
 そうそう、MCのケン・マスイさんが僕のことを『こう見えて3人のお子さんのパパ』と紹介してくれたんですが、どういうふうに紹介してもらえるのか楽しみにしていたので笑いました(笑)。Fリーグのことを知らない人もたくさんいたと思うので、僕らが一生懸命にやっていることをアピールするという意味でも、本当にありがたい時間でした。今回の優勝はチーム史上初めてのタイトルなので、表彰台に上がることができて最高でした!」

“笑い”で舞台を盛り上げたのは、1日目の解説を担当した松木安太郎と、同じく2日目にその席に就いた中山雅史だ。

 お茶の間でもお馴染みの解説者となった松木のハイテンション解説は、『MIFA CUP』でも健在。次から次へと飛び出す名言に会場が沸いた。

「うわー! あれはもう、まるで踊ってるみたいだよね! ボールがなきゃ、僕もあれくらい踊れるんだけど。ハハハ!」

「MIFA FCのフォーメーションはフラット3だね。3人しかいないから当たり前か。ハハハ!」

 一方、2日目に解説を担当した中山も、負けず劣らず。『MIFA CUP』には「チャリーン(股抜き)」や「ダブチャン(残り時間1分を切ってからのゴールは2得点)」という特別ルールがあるが、選手がボールを浮かせば「あれは『ポワーン』!」、足下でボールをコントロールすれば「あれは『グリグリグリ』!」、強いシュートを放てば「あれは『ダンガン』!」と次々に新技を命名し、MCを務めるケン・マスイとの絶妙な掛け合いで会場を笑わせた。

 松木も中山も、その表情はサッカーの現場で見るそれとはひと味違う。それはきっと、そこに音楽があり、いつもとは違うお客さんがいて、観られることを楽しもうとする空気が充満する独特の舞台に由来するのだろう。

「会場との一体感を感じてテンションがグッと上がる」

 もちろん、そうした空気感を感じていたのは松木や中山だけじゃない。「MIFA FC」の一員として2デイズともに参加した元日本代表MFの2人も、やはりいつもとは違う独特の盛り上がりを存分に楽しんでいた。おそらく久しぶりに日本代表のユニフォームに袖を通したであろう名波浩と、福西崇史。2日目の試合直後、舞台裏でクールダウンを終えた2人に話を聞いた。

まずは、名波。

「音楽とサッカーの融合という試みを本格的にスタートしたのは、『MIFA』が初めてですよね。やっぱり、そのこと自体にものすごく大きな価値があるんじゃないかな。今年は昨年と比較して、イベントそのもののクオリティーがものすごく上がっていると感じましたね。少し強引な形でお客さんを出場する各チームのサポーターにしてしまうことで(笑)、お客さんとの一体感が一気に高まったんじゃないかと思う。そういう熱気を感じながらプレーすることができるので、僕らのテンションもグッと上がりますよ。  音楽の力、それから音楽とサッカーの相性の良さを強く感じるので、誰もが気持ちよく楽しめる。とにかく素晴らしいね。MIFA FCの結果について? いやいや、誰のせいとは言わないけど、たぶんオレのせいじゃないよ(笑)。来月の東京で、借りを返さなきゃいけないね」

続いて、福西。

「2日間プレーしてみて? う~ん……楽しいからこそ、やり足りないね!(笑)。でも、出場しているみんなが楽しくプレーしているということと、観てくれるお客さんが楽しんでくれているということを感じられるから、それだけで最高。いや、それにしてもFリーグの選手たちは本当にうまいね。魅せるプレーを心がけながらも、試合に勝つための要所をしっかりと抑えてくる。
 彼らのプレーを目の当たりにすると、自分自身の“できなさ具合”を感じて、『サッカーで勝負しようぜ』って思っちゃいますよ。オレ、負けず嫌いだから(笑)。雰囲気は本当に最高。お客さんとも一体となって、すごく楽しくプレーできたと思います。東京開催も楽しみ。MIFA FCがもう少し勝てるように、みんなで作戦を考えないとね(笑)」

 ちなみにウカスカジーの2人が率いる「MIFA FC」は、1日目が3位、2日目が4位という成績に終わった。しかし、両日合わせた12試合の「ベストゴール」は、このチームから生まれた。

 1日目の第4試合。シュライカー大阪と対戦した「MIFA FC」は、現役時代を想起させる名波の華麗なループパスに走り込んだ桜井が、ワントラップから見事なシュートを決める。

「サクさんとは普段からよく一緒にボールを蹴っているけど、あんなにすごいゴールは見たことないよ!」

 フリースタイルフットボール集団の『球舞』、そしてセパタクロー日本代表チーム『蹴』のパフォーマンスはまさに圧巻だった。

彼らが上げたテンションを「MIFA CUP」に欠かせない“お祭り男”ナオト・インティライミがさらにヒートアップさせ、最後に再び登場するウカスカジーが約1時間に及ぶライブでクライマックスへ。

 キーワードは、「友だち」を意味するスペイン語の「アミーゴ」。僕も会場の隅っこでメモ帳を片手にひっそりとその様子を目撃しながら、「アミーゴ」の一員になれたことを感じてハッピーな気分に包まれた。ステージの袖に目を向けると、Fリーガーや元日本代表選手たち、『球舞』や『蹴』の面々、さらにナオト・インティライミも、手を上げたり、歌ったり、タオルを振り回したり、ジャンプしたりしながらウカスカジーのパフォーマンスを楽しんでいる。

「みんな、最高!」

 大阪を舞台に繰り広げられた1年ぶりの『MIFA CUP』2デイズは、そうして幕を下ろした。桜井とともにこのイベントを仕掛けるGAKU-MCに「ホントに素晴らしかったですね」と声を掛けると、こんな言葉が返ってきた。

「やっぱり、いつもこう思うんです。高校1年の時に、僕は一度、サッカー人生から脱落しました。そんな時、何もすることがない僕を救ってくれたのが音楽だった。そういう背景があるからこそ、こうして一流の選手たちと一緒にボールを蹴っている自分に改めて驚くばかりですね。だから、高校1年の頃の自分に言ってやりたいですよ。『あきらめずに頑張れば、きっといいことがあるぞ』ってね。MIFA FCにはサッカーの元日本代表選手がいるとはいえ、その中に混じって、僕自分もよく頑張ったと思います(笑)。
 会場の雰囲気は、もうホントに最高でした! もう、まるで夢のよう。音楽もフットボールも、思いっきり楽しみながらプレーできました。こんなに素晴らしいことはないですね。会場に足を運んでくれたアミーゴ、僕たちの活動を応援してくれているすべてのアミーゴに感謝します! また東京で!」

カメラマン:石渡憲一・夏井瞬(イイ人)
ライター:細江克弥

MIFACUP 東京

武道と音楽の聖地・武道館で繰り広げられるフットボール

 大阪2デイズで幕を開けた『MIFA CUP 2014』は、5月22日、東京へと舞台を移した。

 会場となった日本武道館は、アーティストにとって特別なステージである。1964年東京五輪の柔道会場として建設された日本武道館は、その後、柔道や剣道、相撲や弓道などあらゆる武道の競技場として、あるいはボクシングやプロレスなど様々な格闘技のコロッセオとしてその格調を高めた。

 そこに“音楽”が持ち込まれたのは、1966年のことだ。イギリスのロックバンド『ビートルズ』の初来日公演によって、武道館と音楽はその“不似合い”な距離感を一気に縮めた。以来、国内外のトップアーティストが武道館のステージに立ち、ここでしか味わえない独特の臨場感をオーディエンスと共有してきた。

 そんな“聖地”で、「フィールドの格闘技」と言われ、音楽と相思相愛の関係にあるフットボールが繰り広げられる――。『MIFA CUP』に関わるすべての人が、この舞台での開催にこだわり続けた理由がそこにあった。

『MIFA CUP』を盛り上げたのは『MIFA FC』の意外な奮闘!

 大阪公演と同様、ステージはウカスカジーの新曲『勝利の笑みを 君と』とともに幕を開けた。

「始まるよ!!」

 いつもの掛け声で、桜井がオープニングを告げた。オーディエンスが一斉に立ち上がり、リズムに乗って手を叩き、ステージに立つ桜井とGAKU-MCに目を輝かせる。武道館を一体感で包む大合唱とともに、『MIFA CUP 2014』のラスト2デイズが始まった。

 3人対3人の『MIFA CUP』では、1日目、2日目とも『MIFA FC』の活躍が際立った。

 1日目のメンバーは、ウカスカジーの2人と、大阪・東京の全日程で参加している“レギュラーの2人、サッカー元日本代表の名波浩と福西崇史。さらにスペシャルゲストとして同じく元日本代表MF北澤豪がメンバー入り。2日目は北澤に代わってタレントのワッキー(ペナルティ)が加わり、さらにこの日、シンガポールから帰国したばかりのナオト・インティライミが空港から直接駆け付けるというサプライズで参戦した。そしてもちろん、解説を担当する中山雅史も大会途中から上着を脱いでピッチに立つ。

『MIFA FC』と対戦するのは、フットサル界の強豪ばかりだ。1日目はバルドラール浦安、府中アスレティックFC、アグレミーナ浜松の3チーム。2日目はヴォスクオーレ仙台、フウガドールすみだ、ペスカトーラ町田の3チームが出場。特に2日目、昨年の大会を制したペスカドーラ町田は、甲斐修侍や金山友紀らフットサル界の“レジェンド”が躍動。圧倒的な強さと“魅せる”テクニック、まるで音楽に合わせて踊っているかのようなリズミカルなパスワークは、フットボールの魅力を伝える強いメッセージとしてオーディエンスを魅了した。

日本武道館?2本ブドウパン?

 ウカスカジーとサッカー界の“レジェンド”で構成された『MIFA FC』は、両日とも2位に輝く大健闘を見せた。福西崇史に「強かったですね」と声を掛けると、こんな答えが返ってきた。

「いやあ……とにかく楽しい! 出場しているみんなが楽しくプレーしているということと、観てくれるお客さんが楽しんでくれているということを感じられるから、それだけで最高ですね。それにしてもFリーグの選手たちは本当にうまい。魅せるプレーを心がけながらも、試合に勝つための要所をしっかりと抑えてくる。オレ、負けず嫌いだから悔しいですよ。会場の雰囲気は最高。お客さんとも一体となって、すごく楽しくプレーできたと思います。MIFA FC、あと一歩で優勝できたんだけどなあ」

 優勝に「あと一歩」届かなかった理由は、『MIFA FC』のこんな内情にあったらしい。

「特に2日目。ワッキーさんでしょ、ナオトでしょ、中山さんでしょ……みんな攻撃的な選手ばかりで、チームのバランスを取って守れる人がいない。桜井さんとガクさんも攻撃が得意。だから、名波さんと言ってたんですよ。『俺たちが守るしかないぞ!』ってね(笑)」(福西)

 攻守のバランスを欠いた『MIFA FC』は惜しくも2位に終わったが、真剣な表情でボールを蹴り、汗だくになって走り、何より楽しそうにボールを追い掛ける姿はカッコ良かった。名波も福西も、解説者としてテレビで見せる姿とは全く違う。観てくれる人を楽しませ、自らも存分に楽しもうとする“お茶目”な一面が見られるのも、このイベントの大きな魅力だ。中山の解説は相変わらずキレ味鋭く、笑いと歓声、拍手と声援が入り混じった会場のテンションは上がりっぱなしだった。

 熱気に包まれた会場をさらに加熱させるのは、フリースタイルフットボール集団の『球舞』とセパタクロー日本代表チーム『蹴』だ。一瞬たりとも目を離せない圧巻のパフォーマンスが終わると、さて、いよいよミュージックの時間である。

 1日目は『ゴスペラーズ』、2日目は『RIP SLYME』と音楽界の“サッカーファミリー”がステージに立ち、続いてウカスカジーがステージに登場する。その2日目、『手を出すな!』を歌い終えたGAKU-MCは、ミュージシャンとして初めて武道館のステージに立ったことへの熱い思いと感謝の言葉を伝え、おもむろに後ろを振り返って何かを取り出した。

 スタッフによれば、その日の朝にふと思いついたらしい。GAKU-MCが取り出したのは、2本の「ぶどうパン」だった。何も知らなかった桜井が、笑いながらつぶやく。

「日本武道……パン?」

 会場がドッと沸いたところで、『MIFA CUP』はいよいよクライマックスへと突入する。

勝利の笑みを 君と――夢のような時間は続く

 約1時間のライブをあっという間に感じてしまうほど、最高のステージだった。ウカスカジーは、リリース直前の1stアルバム『AMIGO』から、『手を出すな!』『縁 JOY AMIGO』『握手』『mi-chi』を披露。さらにアンコールではGAKU-MCが『昨日のNo, 明日のYes』を、桜井が『名もなき詩』を高らかに歌い上げる。そして最後に、日本代表公式応援ソング『勝利の笑みを 君と』を披露。武道館がまさに一体となって、間もなくブラジルへと向かうサッカー日本代表へエールを贈った。

 数日後の5月27日、日本代表の壮行試合となったキプロス代表との一戦で、サプライズは起きた。『勝利の笑みを 君と』のサビが、スタジアムで何度も響き渡ったのである。スタジアムを包んだ大合唱のエールは、きっと選手たちの耳にも届いたに違いない。

カメラマン:石渡憲一・夏井瞬(イイ人)
ライター:細江克弥

©MIFA/TOY'S FACTORY